現在、日本国内に日本病理学会で認定を受けた「病理専門医」は2,000人程しかいません。
この数をアメリカと比較してみると、人口10万人に対してアメリカでは7.9人の病理医が対応できるのに比べて日本は10万人を1.4人の病理医が担当していることになります。こうした病理医の不足を補うシステムが病理診断の委託です。
病理診断の数が2011年に43万8533件、5年後の2016年には53万948件とに増加したというデータがあります。
病理医の重要性に対してその認知度は低く、現在の病理医の平均年齢は50代以上です。新たに医学生を迎えたいところですが、医師不足はその他の科にとっても深刻な問題で、医学生獲得のためにアピール合戦が繰り広げられています。
最も医学生に人気がある内科は、診察する領域が広く高齢化社会に向けて(生活習慣病)や(慢性疾患)など治療機会の増加が見込め、開業を目指しやすい科であるといえます。また、臨床医と比較して「給与面で安いのではないか?」というイメージを持たれているのか、男性の若手医師が不足している現状があります。
病理医は主に大規模病院の病理診断部門に常勤しています。中規模病院では病理医が常勤するケースは少なく、非常勤の病理医が所定の時間だけ勤務しているケースが一般的で、小規模病院に勤務する病理医は稀です。
【病理医とは】
普段病院を受診する際、患者は病理医(正式には病理専門医)に会うことはありません。そのため、病理医の仕事内容はもちろん、5割以上の人がその存在すら知らないと答えたという調査があります。病理診断を専門的に取り扱う資格を持った医師が「病理医」です。医師免許取得後に臨床研修や病理学研修など所定の内容を修了し、筆記・実技試験に合格すると、審議を経て日本病理学会から認定される資格です。
胃や腸の内視鏡検査中に内視鏡医が異常を感じ摘み取った組織、産婦人科医が検査中に子宮から擦り取った粘膜、外科医が手術中に切り取ったがんなど、患者から採取された組織や細胞から標本を作り顕微鏡で観察して病気の確定や腫瘍の拡がりを確認するなどの「病理診断」を行います。
病理診断が必要な検体(組織や細胞)の数は年々増加していますが、病理医のニーズに病理医の数が追い付かず病理医不足、病理医がいる病院の地域格差が深刻化しています。わたしたちの前に出ることのない病理医ですが、病理医が不足すると
- ・検査結果の判明に時間がかかり適切な時期に適切な治療を受けることができなくなる
- ・手術中の診断(術中迅速診断)が制限されるため、病理医不在時には手術ができなくなる又は術中迅速診断を行わない手術が増える
- ・死因の究明や治療が適切であったかのチェックができず、新しい医療を導入できない
など、その影響はわたしたちに直接及ぶことになります。
【病理診断の委託、そのメリット】
迅速な病理診断を行うために各病院に病理医がいることが医療の質の向上にもつながりますが、病理医の不在をサポートするシステムが「病理診断の外部委託」です。
病理医が不足する中で、病院、診療所、検査センターなどに病理診断支援を行うことに加え、術中迅速病理診断では手術中の限られた時間内にもスピーディーな対応ができます。
委託される主治医の先生と対応する病理医が関係性を築きやすい点、また、主治医が委託している病理診断科診療所にわたしたちが直接出向くことができれば、今までにはなかった「かかりつけの病理医」を持つことも可能になり、患者側にとっての外部委託のメリットの1つと言えるでしょう。
病理診断の外部委託をご検討されている方はぜひ一度、淀屋橋クアトロアールクリニックへお問い合わせください。