普段は患者と直接関わることの少ない病理医ですが、その専門性とあらゆる病気にまたがる幅広い知識をもとに、ますます活躍の場が期待されている医療のスペシャリストです。
その仕事内容や、病理医になるための資格・経験にはどんなものがあるのでしょうか。
そこで今回は、病理医の具体的な仕事内容となるための道のりについて掘り下げていきたいと思います。
【病理医の仕事内容とは】
(1)生検組織診断
手術、内視鏡などによって採取された組織を顕微鏡で観察して病理診断を行うものです。
手術の最中に組織診断を行う術中迅速診断もこの生検組織診断に分類されます。
切除された組織がどんな性質をもっているか、あるいは今後どうなっていく可能性があるかなどについて的確な判断が求められます。
(2)細胞診断
検尿や注射器などで集めた細胞の性質を顕微鏡で検査・診断するものです。
臓器から組織を採取して行う組織診断と、子宮がんや乳癌など粘膜や体の比較的表面から採取できる細胞診断に区別されています。
(3)病理解剖
亡くなられた患者の遺族の了承のもと、遺体を解剖し病変の進行具合や薬の効果などを客観的に検証していきます。
特に癌の治療においてその診断を求められる機会が多く、病理解剖が今後の治療薬の開発や癌治療へ生かされることになります。
これらの仕事の他に、他の病理医研修医への講習会など、後進の育成も仕事の一つです。
【病理医になるために必要な経験や資格にはどんなものがある?】
病理専門医という資格が必要になりますが、その試験を受けるための受験資格には以下のものがあります。
- ●大学の医学部医学科において6年間の履修
- ●医学部卒業と医師国家資格合格による医師免許の取得
- ●医師免許取得後2年間の医療現場での研修(いわゆる研修医)
- ●死体解剖資格と30例以上の解剖執刀、診断報告書作成
- ●病理診断歴3年以上かつ5000件以上(日本病理学会認定の研修施設に限定)
- ●迅速病理診断50件以上
- ●細胞診断5000件以上
- ●人体病理学に関する論文の学会発表3編以上
- ●講習会の参加
- ●臨床病理討論会の担当2例以上 報告書の作成まで
- ●日本病理学会の正会員に3年以上登録している
以上の条件を満たした上で病理専門医の試験に合格すれば病理医として専門職に就くことができます。
これらの条件を満たすためには最短でも医学部卒業後5年の歳月がかり、臨床現場に立ちながら学会で論文を発表していかなければならず、かなりの狭き門であることがわかります。
淀屋橋クアトロアールクリニックでは、病理専門医が在籍し病理診断委託を承っております。ぜひ一度、淀屋橋クアトロアールクリニックへご相談ください。